フトンビシ岩峰群 平成19年5月4日
フトンビシ岩峰群
フトンビシの写真 http://ludens.air-nifty.com/photos/hutonbishi
< 山域 > 頚城山塊/雨飾山/フトンビシ岩峰群
< ルート > 右岩峰/中央稜
< 登攀日 > H19年5月4日
< メンバー > 菅修三/池野明子/賀来俊之(同人ルーデンス)
頚城の岩壁は、明星山P6南壁を除くと殆ど訪れる人も稀で静かな登攀ができる、私達が好きな山域。
海谷以上に記録を見ないことから、GW山行はフトンビシに決めた。
< 登攀概要 >
雪に埋もれた登山道を荒菅沢手前の鞍部まで。
鞍部からは南尾根支尾根をトラバース気味に下り、荒菅沢に降り立つ。谷底から見上げる荒菅沢上部のカールは、小粒ながら荒々しく荘厳。雪崩の危険性もあるので、急いで取付まで登る。
中央稜は稜の右側の雪渓を詰めると下部の3~4P程省略できるが、折角なので末端より取付く。
3人パーティーに加えてややこしい登攀ということで、全ピッチ、トップは菅が務めた。
<1P目>
シュルンドより露岩を少し登り、壁に乗った不安定な残雪(5P目登攀中に崩壊した)を越えた所でビレー。
<2P目>
傾斜は緩いがボロボロのスラブを登り、ブッシュに入ってビレー。トップはクライミングシューズ、セカンドは登山靴で登る。
<3P目>
ブッシュ
<4P目>
ブッシュの茂ったカンテを登り、コル状のテラスへ。途中カンテ上の冷蔵庫大の浮石が揺らぎ緊張する。
抜け落ちていたハーケンと抜けかけていたハーケンを打ち直し、ビレー。
セカンドが一抱えもある石を落とし、岩の脆さを思い知る。
<5P目>
ここからは傾斜も立ち、本格的な登攀に入る。セカンドもクライミングシューズに履き替える。
ランニングの無いボロボロの凹状を登りナイフリッジへ。ルート中、唯一しっかりしたビレー点(リング3本)でビレー。
<6P目>
国内ではお目にかかったことの無いような見事なナイフリッジ。但し、風化が酷く、ホールド・数少ない残置ピン共に不安定。リッジ上の小さなレッジでビレー。
<7P目>
ナイフリッジを辿る。リッジの上は渡れず、切れ落ちた側面をトラバースするが、悪い。小ギャップでビレー。
ビレー中、本峰南尾根上部のルンゼからの土砂を巻き込んだ底雪崩が発生。荒菅沢を下っていたカモシカが逃げ惑う。他人事ではない。
<8P目>
ギャップの窓から、左スラブ側に10mの懸垂でバンドへ降り立つ。
<9P目>
ほぼ水平に続く悪いバンドを伝い、左にトラバース。途中ハーケン2本のビレー点があるが、落石の通り道にある為、更にトラバースする。
ロープ一杯の所で、浮いた岩で効きにくいながらハーケン陣を作り、後続を迎える。
<10P目>
目前のスラブ状フェースは全体が浮いており、自分達が岩の墓場に囚われているような気持ちになる。右上するバンド状を辿り、大きく浮いた岩を回り込み小テラスへ。ノーピン。
<11P目>
頭上の凹状の喉を目指し直上。傾斜が強くなるが岩の脆さは相変わらずで、喉状の部分で傾斜が更に立つ。初めて現れた残置ハーケンにプラスし、効きにくいながら更に2本ハーケンを固め打ちし、「喉」部分を乗り越す。
ここを越えれば傾斜が落ちてビレイ点があるかと期待したが、越えた先はカール状で岩は更に脆くなり、もう殆どハーケンを受け付けない。最後に取ったプロテクションは遥か下で、且つロープも残り僅かなのにビレーを取る場所が見当たらない。小指くらいの這い松を見つけプロテクションを取り、その周りにウォードホッグを打つが、これすらも効かない。周囲を見渡してようやく右上のカンテのピナクルに残置ハーケンを1本発見。そこまで登るとピナクル自体は少し揺らぐものの、ハーケン周辺はなんとか固い岩だった。アングルとロストアローを打ち、後続をビレーする。
セカンド同士でも落石しないよう、声を掛け合って離れないようにして登るが、自然落石に加え、トップが引くロープが誘発する落石が怖ろしい。
<12P目>
振り返るとその名通りのナイフリッジと、崩壊しつつある壁が見下ろせ、壮観。
リッジを辿りブッシュまで。傾斜も緩くなり一息つく。
<13P目>
もう安全圏だが、念のためブッシュのリッジにロープを伸ばす。雪の原の笹平はすぐそこだ。笹平と壁との間にぽっかりと空いた笹原でビレー。終了とする。
****************************************
正直な所、これほどまで脆いとは思わず、下から見上げた時点ではスケールもそれ程大きくなく(正味5~12P目の7P)、傾斜も緩いリッジの登攀だろうと想像したが、「頚城でも特に脆い」の評判通り、厳しく、興味深い登攀になった。この岩峰群を30年以上も昔に開拓された、遠藤甲太氏ら先達には畏敬の念を覚える。
残置プロテクションはビレー点・ランニング共にプアで、特にランニングに関しては、岩の崩壊と共に持って行かれているようだ。またほとんどブッシュもついておらず、プロテクションに利用できなかったが、これも岩が崩壊し続けているせいだろう。
尚、5P目(事実上最初のピッチ)の終了点は例外的にしっかりしており、スリングも掛かっているが、これはここから降りるクライマーがいる為かと思われる。
ギアは一通り持って行ったが、カムやナッツはほとんど有効でなく、辛うじて使えるのはハーケンで、中ではチャンネルが一番効いた。ボルトは使用していない。
| 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)

最近のコメント