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2008年3月20日 (木)

再訪!西上州

西上州 吾妻渓谷・不動滝/荒船山・相沢奥壁の氷瀑

200822324

山岳同人カルパッチョのお二人/Kさん/池野

写真

正月明けから相方の休眠状態が続いている。今までに無い経験だ。

あって当然と思っていたものがある日突然失われる。

この馴染まない感覚はなんだろう…

それでもそんな事にはお構いなしに週末はやってくる。自分まで休んだら何かがダメになってしまいそうで怖い。だから戸惑いながらも山へ行く幾週かが過ぎていった。

そんな中、もうひとつ今までに無かったことが起こった。

アイスクライミング。

それは、知り合いの山ヤさんからのアイスツアーのお招きだった。

是非行きたい!

我々と同じく男女ペアで登るこのお二人は、時に、合わせ鏡のように思える事さえある。こんな時だからこそ尚更お会いしたい。

そして理由はもう一つある。昨秋、その時点では未踏だった西上州の一本岩を我々は訪れている。その脆さに恐れ入って触れもせず、転進先の毛無岩も立岩も林道崩れや雨でことごとく敗退している。季節は違うが、幻に終った西上州にまた行けるのだ。

けれど…

もう10年は昔のこと、相方は当時の私を熱心に冬のルートに誘ってくれたが、私は聞く耳を持たなかった。冬山は怖そうだし、寒いのは苦手だし、体力も技術も無いし、とても耐えられるとは思えない。いやそれより、その頃突然上達したフリーが楽しかったのかもしれない。

それで相方もついに匙を投げ、正月休みが来ると二人して暖かい岩場を求めて南の島なんかへ行くようになったから、アイスクライミングは一番疎遠なジャンルとなった。

だから肝心のアイス経験と言えば、昔ながらのアックスで小さな滑滝を数回フォローした程度。バーチカルアイスで離陸できないという事態になったらさすがに情けない。そこで助け舟を出してくれたのは同行するKさん。事前に2回、大峰・地獄谷のアイス山行に誘ってくださった。彼女のアックスは魔法の杖だ。10年の時を飛び越えて、私をスルスルと終了点まで導いてくれた。

いよいよ当日の朝となった。夜行バスが立川駅に着くと、現れたのは、あれ?レガシィだ。パジェロミニにはとうとう4人分の荷物が積み込めなかったそうで、降雪予報の西上州へスタッドレスじゃないレガシィが走り出す。

カルパッチョ号は楽しい。最新鋭のコーヒーメーカーが装備されていて、早速熱いコーヒーが振舞われる。

さて初日の目的地・吾妻渓谷に到着する。駐車場からわずか5分で不動滝が姿を現す。F1の高さは35mほど。先行パーティーが上に抜けるのを待って、まずKさんが初リードに臨む。安定した登りで危なげなく終了。続いて私がフォローする番だ。階段状とお借りしたノミックの威力に助けられて、中間部までは問題ない。もしかしてこれくらいなら私でも?…と思い始めたが、最上部は氷のすぐ下に水が流れているのが見え、ヒヤヒヤしながら登る。余計な色気は出さぬが肝心だ!

Kさんと合流した後、懸垂下降したが、実は私が登っていく時点で雪が舞い始めていた。続いてカルパッチョのUさんがリードするはずだったが、レガシィの危機が迫っていた。残置物を回収にHさんがそそくさと登り急ぎ撤収、車に飛び乗って安全地帯まで走り、天気も回復して一息つく。

まだ時間は早いが、途中、名物・下仁田ネギやらコンニャクやらを仕入れ、荒船山相沢登山口近くでテントを張り、すっかり宴会モードに切り替わる。

今日のメニューは鍋&クレープ。Hさんお手製クレープが美味しいんである。鍋で腹いっぱいのはずが完食した。

7時には就寝となったが、夜中にテントを揺らす激しい風で目を覚ます。また降雪が始まっている。明日はどうなるのだろうか。

朝になると一面白くなっている。雪は降り止まず、お二人で何かやりとりしている様子からすると、おそらく中止だろう。ところがHさんは行きましょうとおっしゃる。Kさんと私の顔に「行きたい」と書いてあったのを読まれてしまったのか…申し訳ありません。

登山口から1時間半ほどで相沢奥壁の氷瀑に到着する。昨日の不動滝よりも大きくずっと美しい。今日もまたKさんリードで登攀開始だ。下部の緩い数メートルを過ぎ、傾斜の強い部分へ入って行く。今日は昨日より氷が固く、スクリューのセットも場所を変えながら苦労しているようだ。見ているこちらも力が入るが、それでもテンションをかけず、粘り強く作業を続ける。50メートルと長いこのルートを、途中、手をシェイクして休ませながら、初見フリーで登りきった粘りと気力に拍手!

次はUさんがリード。Uさんのハーネスにスクリューを装着し、手袋を温め、あれこれと声をかけられるHさんを見ていると、微笑ましくて可笑しくて、やがて哀しき…

“相方”の二文字が雪とともに私の胸に降り積もる。

Uさんは颯爽とリードされ、時間も遅くなってきたことから、Hさんと私を同時に引き上げていただくことになった。私は右側のリードのライン、Hさんは難しい左側を登る。Kさんから、地獄谷のシェークスピアのハムレットよりも(フォローでは)易しいと聞いたのに勇気を得、またしても魔法の杖とスクリュー回収の免除というチョンポに助けられ、ヨタヨタながらも終了点に到着した。

西上州行きが決まった時は、一歩でも上がればそれでいいと思っていたのに、今は、リードで登れればもっとよかったと思う自分がいるのにびっくりする。なんとも不思議なものだ。そして呆れるほど身勝手だ…

荷物をまとめ、夕闇迫る登山道を駆け下りる。

こうして楽しい2日間が終った。

カルパッチョのお二人とKさんに心から感謝したい。

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